しみやけんの中国株投資

運用状況と投資のアイディア、たまに哲学的なことを書きます。

株式投資について

投資家の存在意義

悲観主義者から買い、楽観主義者へ売る現実主義者~

投資家は資本主義の頂点。特に株式に投資すればお金を働かせることができて、経済成長の恩恵を座ったまま受けられる―

そんな表現を耳にしますが、それならなぜ、みんな投資をやらないのでしょうか?

 

答えは簡単。それが嘘だからです。

 

株の殆どは利益を生んでいない

Do Global Stocks Outperform US Treasury Bills? by Hendrik Bessembinder, Te-Feng Chen, Goeun Choi, K.C. John Wei :: SSRN

 

 まず経済成長の恩恵について。経済は発展していますが、経済成長率の高さとその国の株式市場のリターンは相関しないことで知られています。また、経済成長の恩恵を受けるのは消費者であり、最初にリスクを取る(そして大体は損をする)のが株主です。

「賢明なる投資家」には自動車、鉄道、航空機、情報通信といった、確実に成長を見込める産業が株主の利益に繋がらない(むしろ株主が損をしている)ことが指摘されています。最近では環境とAIが盛り上がってますね。PSR20倍超えのテスラはどうなってしまうのでしょうか・・・

 

資本主義の最底辺にいる株主

 まず、会社に売上が入ります。はじめに経営者・従業員が賃金を受け取り、次に債権者(銀行と社債)に決まった額の金利が入ります。それから税金が取られて、株主に配当が入ります。そしてその配当から更に20%税金が取られます。株主は最後にカスみたいな、残った部分を頂くのです。大事なお金で何の裏付けもないものを買って、儲けが出ても後回し。だから投資家は細心の注意を払っておこぼれを頂きながら、自分のお金を監視して守っていく必要があります。

 

「資本主義の恩恵を受けよう」が言われ始めたら天井付近ですね。賢明なる投資家にも、1920年代にそんな見出しの雑誌が流行ったとあります。

 

幸いなことに、株は200年にわたって儲かったという事実から、株は市場でいつでも買ってくれる人がいます。誰も従業員との利害関係だとか、経営について深くは考えなくなっています。

 

「賢明なる投資家」の初版の19章には、株主の経営監視義務について書かれてありました。しかし、最新版では無くなり、配当について少し意見する程度になっています。

 

 株なんて、下がれば下がった値でいつでも買いたい人が現れるし、分散すれば損失は限定的。経営や従業員の賃金が気に食わなければ売ればいい。経済が豊かになってきたので、労働者は愚痴を言いつつもストを起こすこともなく、株主の分を残してくれます。法整備が進んで、株主コストが下がったということですね。ありがたや。

 

そんなわけで、株はカジノとしての側面を持つようになりました。経営がどうだろうと、儲けがどうだろうとご勝手に。他人が自分より高い値をつけて買ってくれればそれでいい。会社はうねうねするチャートに抽象化されて、毎日数兆円の富が人から人へ移動しているのです。

 

それでは、株式投資家はギャンブラーと同じなのでしょうか。グレアムはそれを投機家と定義し、投資家と区別しました。

投資家とは、裏付けのあるものを適切な価格(安全域)で買って儲ける。

投機家は株の転売によって儲ける。

 

 どちらがいいか悪いかという話ではなく、儲けやすく満足できる結果が期待できるのは投資家のほうだということです。

 

 なんであれ、価値の裏付けがあるものを適切な値段で買えば、それは投資になります。たとえビットコインでもゲームストップ株でも、払った以上の価値があるのであれば投資といえるわけです。

 

 私は、この本を何回も読んでいますが、投資の極意以上のことを学んびました。大衆に惑わされず、合理的に振舞うことは生きていく上で必要な力であるということです。

 私は就活でもこの哲学を使っています。ネームバリューや人の話ではなく、きちんと数字を見て入る会社を選ぶこと。「人・雰囲気」などという定量化できない曖昧な判断基準で生涯賃金を決定しないこと。

 

 株式市場は余剰の捌け口としての役割もあります。資本主義というシステムは今後も続き、平等な資源分配社会は株式投資の大衆化によって到来することになると思います。(持続可能かは不明ですが)先進国の生存コストは信じられないほど低くなっています。これからの資本市場は、長期的に見れば、米国を主導にイスラム金融化していくことになるでしょう。

金利には社会資源の浪費を抑える役割が、投資家には利己的にシーソーの反対側へ行って均衡を保つ役割が求められます。その対価としてお金を頂くのであれば、一概に搾取とは言えないかもしれません。

 

悲観主義者から買い楽観主義者へ売る現実主義者

 現実主義者でいるためには、知恵と常識的な思考力が必要です。それ以上に、感情に流されないようなフレームワークが必要となります。

 みんなが恐れているときは貪欲に、みんなが貪欲な時は恐る恐る――

 

楽観主義者ワード(売り)

 →借金、何かやる、アクティブ、快楽主義、今を楽しめ、株を買え、酒、

 インフレーション、低金利、変化と成長、好況、アメリ

 

悲観主義者ワード(買い)

 →貯金、何もしない、パッシブ、禁欲主義、先が不安、預金をしろ、健康食品、

デフレーション、高金利、保守と現状維持、不況、日本